「愛は地球を救う」とは?


私の家では一日中なんらかのテレビ番組が流れていることが多い。今日も24時間テレビが延々とかかっていたようだ。

テレビは暇つぶしにはもってこいだが、最近の番組はじっくりと見ているにはつまらないものが多い。そして、質もどんどん低下していっている。

「マジカル頭脳パワー」を例にあげてみよう。このクイズ番組は昔は本当にレベルの高い問題が並んでいた。頭脳パワーというタイトル名に恥じないすばらしいクイズ番組だった。とくに毎回最後の問題となっていたある事件の犯人を当てるといったものはとても見ていて楽しかった。問題には意地悪がなく素直で単に難しいというだけだった。

しかし、この番組は途中から変質した。今の番組を見てみよう。どこが頭脳パワーだろうか? 単なる「芸能人お遊戯大会」ではないか。本当に頭脳を要求する問題は今の番組には見当たらない。

さらに別の番組を例にあげよう。今日も私の家でかかっていた24時間テレビである。ごぞんじ「愛は地球を救う」を合言葉に全国各地で募金を募るというテレビ番組である。ここ数年、訳の分からない展開になってきて私はこの番組の存在意義を疑うようになった。

まず最初に芸能人が長距離を走り抜いてゴールするというものだが、これは一体何のためなのか? 一番最初に走ったのは確か間寛平だったと思う。最初は確かに、お笑い芸人としては考えられないぐらい真剣な寛平ちゃんの走る姿を見て、多くの人に寛平ちゃんの「愛は地球を救う」に対する情熱を伝えることができ、そして多くの人がテレビの前で感動したと思う。しかし、テレビ局側はそれ以来毎回芸能人を走らせて同じ演出を取ろうとしている。しかし、走って何が解決するのか? やはり私には疑問である。

24時間テレビの存在で多くの募金が集まり多くの困っている人たちの役に立つという事実がある。私は24時間テレビは単なるお祭りにしてはならないと思うのだ。今のような内容だとあまりにもお粗末で単なるお祭りである。

24時間テレビの本来の主張「愛は地球を救う」をもっと前面にうちだし、世界各国で地道に活動しているさまざまな人を取り上げて紹介するべきではないか? 例えば地雷撤去活動、砂漠の緑化活動、障害者にも暮らしやすい町を造ろうと活動する人、動植物との共生を訴える人、核兵器廃絶に向けて活動する人、発展途上国に技術を伝える人などなど。なにも24時間芸能人がしゃべくり倒す必要はないのだ。365日のうちのたった24時間だけではあるが、「愛は地球を救う」のためにまとまった時間を取って世界のさまざまな活動を紹介することにこそ、私は24時間テレビの意義があると信じている。その放送によって新しくその活動に興味を持つ人への参加を促す、それが大事なのだ。


番組製作にかけるスタッフの情熱とポリシー、それはテレビをはさんでこちら側から丸見えである。壮大ですばらしいテーマを安っぽい気持ちで取り扱うことに対する恥はないのだろうか?


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