ブリティッシュスタイルのブラスバンドのCDを聴く機会があって、「おぉ、すげーなぁ。やってみたいなぁ。」と思っても、「近くにブラスバンドがないんだな、これが。」という人に捧げるノウハウ集を書こうと思います。要は私がブラスバンド作るのではなく、これから作りたい人のためのページです。
私はこれまでに一度ブラスバンドを自ら立ち上げ、2~3のバンドの立ち上げを横から見ていたり、アドバイスしたりしてきました。よかったこと、悪かったこと。成功したこと、失敗したこと。最初に決めておくべきだったこと、どうでもよかったこと。何度かの経験からある程度分類できそうに感じています。
極意を極めたわけではないので、このコーナーの文書が必ずしも真であるとは思いませんし、思ってほしくないのですが、周りに詳しい人がおらず頼るべきものがない人のちょっとした道しるべ程度にはなれるのではないかと思います。ここを参考にしつつ、よく周りの状況を分析してあなたの最適解を見つけてください。
もし、このサイトの文書が誰かの役に立ち、新しいバンドの成功に役立ったならば、立ち上げたWebサイトから私のページへリンクしてください。また経験を私にフィードバックしてくれたなら幸いです。
ブラスバンド設立を考え出したときに、主催者が調査、検討しておくべきことについて私の考えをまとめます。
バンドの立ち上げにあたり、できるだけ普遍的でわかりやすい基準(ポリシー)を決めることが重要です。作る意気込みにつられて会費や楽器、楽譜のことに気が向きがちですが、やろうとしていることは新しい組織の設立です。音楽のことばかり考えているわけにはいきません。人間が複数集まればいろいろな事情や要望が出てきますが、すべてを汲み取れないのが実情です。最初から判断のよりどころを明確にし、それを明らかにしておくことで、メンバー全員を満足させることはできなくても納得してもらうことは可能になります。繰り返しになりますが、物事の判断基準をはっきりさせましょう。
そうは言っても、実際に経験があったり、はじめて見なければわからない部分もあることでしょう。どこまで決めておけばよいのかもイメージがつかないかもしれません。「今、私がバンドを作る」とした場合、どのような判断基準を設定するか参考までに例示します。
当たり前のことばかりかもしれませんが、順に説明します。
「意見は平等に聞き、内紛の種を作らないこと」とは、簡単なようで実は一番難しいかもしれません。狙いは「意見(異見)を言いやすい雰囲気を作ること」です。組織内の風通しを良くすることで、言論の自由を確保しましょう。自由な発言が確保されないと、言えない事が蓄積し、やがてそれは不満として意識され揉め事へ発展します。揉め事のある組織はギスギスして、楽しさを味わう雰囲気もなくなります。自らが楽しむためにも重要な事項です。
特にバンドの運営者は数多くの意見を拝聴し、意見の拾い漏れのないようにしましょう。また、意見を聞く際にはどんな些細な意見でも真剣に検討する姿勢が大事です。
「判断の理由は明確に、かつ、合理的に説明できること」とはメンバーからの納得を取り付けるために重要です。すでに述べましたが、複数の人がかかわる場でそのすべての人が満足することはほぼ不可能です。しかし納得してもらうことは可能です。納得できないことはそのまま不満へ、最終的に揉め事へと発展します。バンドの運営者の持つ決定権は、バンドのメンバーへの説明責任を果たすことでのみ維持できます。質問や意見(異見)はしっかりと拝聴し、判断の理由を納得できるようにわかりやすく解説しましょう。
まれに、納得してもらうことを説得することと勘違いする人がいます。両者の境界線は微妙ですが、明らかに区別されるべきものです。メンバーが自発的に納得できるように説明することと、メンバーに自らの見解を押し付ける(説得する)ことは、相手の心証に大きな違いがあることを無視してはいけません。相手に異見があって納得してもらえない場合は相手の異見をしっかりくみ上げ、しかるべき体制のもとで再審議するようにしましょう。
「あらゆる権力/負担が一部のメンバーに偏ることがないこと」とは独裁運営と著しい不公平感の排除に目的があります。
独裁運営排除の観点について述べます。一部のメンバーに権力が集中したり固定化してくると、組織は腐敗を始めます。権力を持つものの意見ばかり尊重され、権力から遠ざかった人の意見は軽視されたり拾い上げられなくなったりします。特にバンドの主催者は非常に強い権力を設立時から保持します。運営スタイルの確立をすませたら、できるだけ早期に運営から離れましょう。
不公平感の排除について述べます。みんな同じ目的のために集まっているのですから、負担はできるだけ均等になるよう調整し分担すべきです。経済的負担、時間的負担、肉体的負担、精神的負担とさまざまな負担があります。様々な職業の人がいて、様々な事情を持ちます。いろいろなパターンを冷静に分類し、均等化された負担を負うことをメンバーに理解、実践してもらいましょう。
「常識、規則に従った正当な判断、運営をすること」とは、メンバーの納得を得る上で重要です。運営の正当性を維持していくための基盤だと考えます。特に事前に合意されていた規則や約束に従う場合は意見されることはあっても、非難されることはありません。満足していなくても納得できれば人は従えるものです。あまりに非常識な言動、判断は不信感を招き、規則に従わない判断、行動は規則や運営そのものの存在を危うくします。特に法律、条例、自ら定めた規則は有効であるうちは絶対に遵守しましょう。
「過度の負担を強いず、長く続けられること」は見解の分かれるところです。好きなことをしてるのだから多少無理しても刺激的なことをしようという発想もあり、それはそれで尊重されるべき考え方だと思います。しかし私は現状の日本社会を考えると、この項目を挙げるべきだと考えます。
理由は大きく二つあります。
すべての人が理想的条件のもと活動できないのであれば、周囲の理解を得やすい範囲で息長く活動を続けるほうがトータルで楽しい時間を長く取れます。周囲から活動が理解されれば支援者があらわれたり、別のバンドの発足のための土壌が育つので、長期的視点からブラスバンドの普及と発展に貢献できることでしょう。
「公私を混同しないこと」とは文字通りなのですが、これも簡単そうで難しいです。特にお金の扱いの面では慎重であるべきでしょう。物の購入と決済は公私入り乱れやすい部分です。お金のトラブルはもっとも深刻な結果を招きます。注意しましょう。
あくまでもこれは一例です。私にとってのベストがあなたにとってのベストとは限りません。周囲の環境(人物、地理、金銭等)をよく考え、あなたなりの結論を出してみてください。
今回は概念的なところを長々と述べましたが、次回以降は具体的な内容に踏み込んでいきたいと思います。