金管バンドパティオ過去ログ#00849

00849/00849 xxxxxxxx  森末 吉彦       【パート】1st,2nd トロンボーン
( 1)   98/08/02 00:57  00767へのコメント

こんにちは。
最近、忙しくて書くペースが落ちてきていますが、頑張っていきましょう。

今回は、1stおよび2ndトロンボーンです。

 トロンボーンは(金管バンドにおいては唯一の)円筒管主体の金管楽器であり、
またピストンではなくスライドを用いるという特徴も持っているため、幅広いジ
ャンルで活躍するトロンボーンですが、わたしの目から見るとどのジャンルでも
主役になりきれないところがあるようにおもわれます。
 いろいろなジャンルの中でもブリティッシュな金管バンドにおけるトロンボー
ンというのは比較的活躍の度合いの高いジャンルの一つではないかなと思われま
す。その金管バンドに置けるトロンボーンの位置づけですが、次のあたりだと思
われます。
  ・鋭い音でブラスバンドのサウンドに変化を持たせる。
  ・自由に音程を変化させられるスライドを使って、美しい和音を構成する。
  ・ソロ楽器として出てくる。

 金管バンドにおけるトロンボーンは1stはテナー、2ndはテナーバスを用
いるのが主流だそうです。音域は大変広く、テナーの場合、第12倍音あたりま
では、少し練習すれば外の楽器に比べ容易に出ます。もっと上の音域も出しやす
いです。下は第2倍音になると音が割れがちになってきますが、第1倍音のGぐ
らいまで出ますが、ユーフォニアムに比べると出しにくく、楽器の抵抗が少ない
ので音量も出ず、音色もあまり美しいものではないので、実際に用いるのは第2
倍音のFぐらいまででしょう。(第1倍音のBbはそれでも時々出てきますが。)

 記譜はBbの移調ト音譜で行います。わたしの身の回りだけかもしれませんが、
トロンボーン吹きは基本調性のBbではなくCをドと読む人が多く、初めてト音
譜に触れるトロンボーン吹きはそれだけで抵抗を感じる事が多いようですが、テ
ノール記号を用いた譜面とほとんど同じだという事を理解できた人は当初の抵抗
感に比べ案外簡単に習得します。


 前述のとおり、トロンボーンはブリティッシュスタイルの金管バンドのなかで
唯一の円筒管の楽器ですので、トロンボーンが出す事のできる音色の中で特に鋭
いアタックの男性的な音色は重要な働きを持ちます。サクソルン系の楽器に比べ
てはっきりとアタックが聞こえるので、曲中のアクセント的なフレーズ(合いの
手など)などで特に多用されます。
 「全体的によくまとまっているんだけれど、なにか物足りないんだよな」と感
じる時はトロンボーンのサウンドや演奏がこじんまりとしたものであることが多
いように思います。

 また、伝統的なブリティッシュサウンドではなく、最近のキラキラサウンドの
なかでは、トロンボーンの持つ明るく素直な音色というのも重要になってきてお
り、コルネットとともにさまざまなフレーズをきらびやかに演奏する事が多いで
す。特にファンファーレ的なフレーズではトロンボーンは先頭をきって吹く事が
多く、とても格好のいい場面を総なめしていきます。

【この場所の参考曲】オリエント急行(P.スパーク)
          祝典のための音楽(P.スパーク)


 金管バンドにおいてはトロンボーンの和音がサウンドの核を作ると言うような
役割はあまりまわってきません。これは他のジャンルとの大きな違いかも知れま
せん。決して和音で吹かないという訳ではないのですが、トロンボーンが純粋に
和音だけを目的に吹いている場面では違う楽器のサウンドが核となり、トロンボ
ーンはその補佐になっている事が多いということです。
 しかしトロンボーンの和音は他の金管楽器の作る和音とは比べ物にならない位
に純粋で美しいので、場面によってはトロンボーンの和音がサウンドの中心に据
えられる事もあります。


 金管バンドでは複数種類のミュートを持つのはコルネットとトロンボーンぐら
いなので、ミュートサウンドで活躍する時もあります。ミュートの使用法は他の
ジャンルとそう大きな違いはないので省略します。


 トロンボーンはスライドで音を変化させるので、速い音符は苦手に見えますが、
(大変なのは大変なのですが)実際は見た目ほど大変でもなく、音階で動く時に
はひょっとしたらピストンよりも楽かもしれないという時が時々あります。しか
し速い音符を吹く時は奏者に余裕が少なくなり音色も基本的にパリパリしたもの
になる事が多いので、書く時にはそのあたりを留意しておく必要があるかもしれ
ません。


 最後にトロンボーンの甘い音色についてですが、伴奏時にそのような音色が求
められることはまずありません。なぜならそのような音色はバリトンやテナーホ
ルンの音色と大差なく、それらの楽器に割りふった方が全体のサウンドとしても
落ち着いたよいものとなるからです。
 ただし、ソロとなると、甘い音色などトロンボーンの持つあらゆる面を要求さ
れるので、1stトロンボーンの担当者はそのような音色を出せるようにしてお
く必要があります。

【この場所の参考曲】ドラゴンの年より第2楽章(P.スパーク)

※実際にトロンボーンをなさっておられる方の補足を期待いたします。

★BRASS BAND☆SAKAI Chairman & Euphonium Player★Team OS/2 Japan★
★   森末 吉彦(xxxxxxxx@nifty.ne.jp)  From Sakai, Osaka    ★

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